荏原畠山美術館の友の会茶会において、薄茶席(常楽亭)横の毘沙門堂の床にこの歌がかけられていました。
おほてらの
まろきはしらの
つきかけを
つちにふみつつ
ものをこそ
おもへ
作者・会津八一について
- 生没年:1881年(明治14年)〜1956年(昭和31年)
- 号:秋艸道人(しゅうそうどうじん)
- 出身:新潟県
- 職業:歌人・美術史家・書家・早稲田大学教授
- 特徴:
- 奈良の古美術に深い造詣を持ち、仏像や古寺を題材にした短歌を多く詠んだ。
- ひらがな主体の万葉調の歌風。
- 正岡子規と親交があり、どの結社にも属さず自由な作歌を貫いた
歌の背景と意味
- 舞台:奈良・唐招提寺の金堂
- 情景:
- 月光が金堂の丸い柱に影を落とし、その影が石畳に映る。
- その影を踏みながら、鑑真や遣唐使の歴史に思いを馳せる。
- 解釈:
- 「ものをこそおもへ」 は、ただ景色を眺めるだけでなく、そこに込められた歴史や精神を深く思え、という八一のメッセージ。
- 観光的な視点ではなく、精神的・文化的な敬意を込めた鑑賞を促している。
唐招提寺の金堂の柱は中央がふくらみ、ギリシャ神殿の円柱に似ているとされ、八一は若い頃ギリシャ建築に傾倒しており、その影響がこの歌にも見られる。