二重蔓牡丹唐草紋は、牡丹と唐草を組み合わせた豪華で生命力あふれる文様で、茶道具や裂地に用いられる代表的な伝統柄です。
文様の基本構造
- 牡丹:花の王とされ、富貴・繁栄の象徴。中国から伝来し、日本でも吉祥文様として広く用いられました。
- 唐草(Arabesque):蔓が途切れず伸び続ける様子から「永遠」「繁栄」「子孫繁栄」を意味します。
- 二重蔓:唐草の茎が二本並行して伸びる構造。一本蔓よりも複雑で力強い印象を与えます。
歴史的背景
- 明代(16世紀頃)の中国で織られた金襴裂地に多く見られ、日本へ渡って茶道具の表具裂として珍重されました。
- 特に「高台寺金襴」と呼ばれる二重蔓牡丹唐草文様は、京都国立博物館に所蔵される重要文化財で、茶の湯の世界で名物裂として扱われています。
- 大輪の牡丹が蔓の上に乗る形式は永楽・宣徳年間(15世紀初頭)に始まり、後世の唐草文様に大きな影響を与えました。