『茶経』(ちゃきょう/茶經)は、唐代の陸羽(733–804)が著した世界最古の茶の専門書です。
成立は760年ごろとされ、茶の起源・製法・器具・飲み方・産地・歴史などを体系的にまとめた、茶文化の基準点ともいえる書物です。
当時の茶は「団茶」(餅状に固めた茶)であり、現代の煎茶や抹茶とは異なる点も重要です。

📘 『茶経』の構成(全3巻・10章)

  1. 上巻
    • 一之源
      茶樹の原産地・特徴・名称・自然条件と品質・効能など
      → 茶の基礎知識と自然観。
    • 二之具
      製茶に使う道具の列挙と説明
      → 茶摘み・加工に必要な器具。
    • 三之造
      茶の製法、品質鑑別、保存法
      → 茶葉が飲用に至るまでの工程。
  2. 中巻
    • 四之器
      飲茶に使う器具の種類と用途
      → 茶碗・炉・匙など、茶器の美学。
  3. 下巻
    • 五之煮
      茶を煮る(点てる)方法、水質の選び方
      → 陸羽は水質研究の先駆者。
    • 六之飲
      飲茶の方法、意義、歴史
      → 茶の楽しみ方と文化的意味。
    • 七之事
      古代から唐代までの茶に関する史料
      → 茶文化の歴史的背景。
    • 八之出
      全国の名茶の産地と優劣
      → 当時の茶産地の地理学。
    • 九之略
      省略してよい器具
      → 実用的な簡略化の提案。
    • 十之図
      本文の図示、茶席に掛けることを推奨
      → 茶の知識を視覚化。

🌿 『茶経』の思想

  • 茶は「清・儉・和・寂」を体現する文化
  • 茶は精神性を磨く行為である
  • 茶は儒・仏・道の思想を融合する場
  • 自然と調和し、質素を尊ぶ美意識

この精神性は、後の宋代文人茶、日本の茶道(侘び茶)へと受け継がれました。